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日商簿記検定3級に必要な決算整理事項のうち貸倒引当金の設定の話のつづきです。
【今回は貸倒引当金の設定の仕訳です。】
3級の問題で出題される差額補充法という方法で仕訳をするときには、
貸倒引当金の設定額と仕訳で用いる金額は一致しないことが多いと思います。
なぜならば、前年に設定した貸倒引当金が残っていることがあるからです。
そういうパターンが簿記検定の問題に多く出てきます。
金額の計算は後回しにして、仕訳はどのようなものになるかを見てください。
(借) | 貸倒引当金繰入 | ××× | (貸) | 貸倒引当金 | ××× | ||||||
「貸倒引当金繰入」という勘定科目は、損益計算書に出てくる費用の勘定科目です。
来年以降、貸倒損失になるかもしれない金額を決算で早めに費用として計上しておく
ことにもなります。
貸倒引当金繰入勘定の代わりに貸倒引当損勘定を用いることもあります。
また、貸倒償却勘定を用いることがあります。
貸倒償却勘定は貸倒引当金繰入と貸倒損失の内容を一緒にあらわす勘定です。
いろいろ書いてしまいましたが、貸倒引当金繰入勘定を書けるようにしてください!
後の勘定は見てわかれば大丈夫です。
次に、計算例です。
(例1)
期末の売掛金 50,000円
期末の貸倒引当金 300円
貸倒引当金は売掛金に対して2%設定する。
この場合の貸倒れ引当金の設定額は
50,000円×2%=1,000円となります。
でも、貸倒引当金の設定の仕訳で用いる金額は
1,000円−300円=700円
としなければなりません。
すでに、貸倒引当金が300円あるからです。
前年度に設定した貸倒引当金が残っているのです。
(借) | 貸倒引当金繰入 | 700 | (貸) | 貸倒引当金 | 700 | ||||||
貸借対照表と損益計算書を作ってみると次のようになります。
平成○年12月31日 | |||
資産 | 金額 | 負債および資本 | 金額 |
・・・・・ ・・・・・ 売 掛 金 貸倒引当金 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ 50,000 1,000 49,000 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
平成○年1月1日から平成○年12月31日まで | |||
費用 | 金額 | 収益 | 金額 |
売上原価 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ 貸倒引当金繰入 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ 700 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
売上高 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
決算整理前残高試算表から計算させる問題が多く出題されます。
(例2)
決算整理前残高試算表 | |
売 掛 金 70,000 |
貸倒引当金800 |
(決算整理事項)
貸倒引当金は売掛金に対して2%設定する。
決算整理前残高試算表から金額を読み取って、
70,000円×2%=1,400円(貸借対照表に表示する貸倒引当金の金額)
1,400円−800円=600円(損益計算書に表示する貸倒引当金繰入の金額)
と計算します。
(借) | 貸倒引当金繰入 | 600 | (貸) | 貸倒引当金 | 600 | ||||||
平成○年12月31日 | |||
資産 | 金額 | 負債および資本 | 金額 |
・・・・・ ・・・・・ 売 掛 金 貸倒引当金 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ 70,000 1,400 68,600 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
平成○年1月1日から平成○年12月31日まで | |||
費用 | 金額 | 収益 | 金額 |
売上原価 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ 貸倒引当金繰入 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ 600 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
売上高 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
(例3)
受取手形と売掛金があるときに、片方を忘れないようにしましょう!
決算整理前残高試算表 | |
受取手形 30,000 売 掛 金 50,000 |
貸倒引当金 900 |
貸倒引当金は受取手形および売掛金に対して2%設定する。
決算整理前残高試算表から金額を読み取って、
(30,000円+50,000円)×2%=1,600円
1,600円−900円=700円
と計算します。
(借) | 貸倒引当金繰入 | 700 | (貸) | 貸倒引当金 | 700 | ||||||
受取手形に対する貸倒引当金 30,000円×2%= 600円
売掛金に対する貸倒引当金 50,000円×2%=1,000円
貸借対照表を作ってみると次のようになります。
平成○年12月31日 | |||
資産 | 金額 | 負債および資本 | 金額 |
・・・・・ 受取手形 貸倒引当金 売 掛 金 貸倒引当金 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ 30,000 600 29,400 50,000 1,000 49,000 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
また、貸借対照表は次のように書くときもあります。
平成○年12月31日 | |||
資産 | 金額 | 負債および資本 | 金額 |
・・・・・ 受取手形 売 掛 金 合 計 貸倒引当金 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ 30,000 50,000 80,000 1,600 78,400 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
答案用紙を良く見ることが大切です!
このような場合には
(30,000円+50,000円)×2%=1,600円
と計算した金額をそのまま使えば速く解答を作成できます。
損益計算書は次のようになります。
平成○年1月1日から平成○年12月31日まで | |||
費用 | 金額 | 収益 | 金額 |
売上原価 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ 貸倒引当金繰入 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ 700 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
売上高 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ |
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第114回日商簿記検定試験にむけていつも
ここのサイトで勉強させて頂いております。
質問なのですが、
一番下の損益計算書の貸倒引当金繰入は
900ではなく700にはならないのですか?
あららっ!
すぐ訂正します。
ありがとうございます。